Natsu life

娘・家族・仕事。大切なものをもっと大切にしたい。お母さんエンジニアの思うこと。

日本で育てるか海外で育てるか


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今日気になった記事はこちら。

iemoDeNAに売却し、ご自身もDeNA執行役員に就任した村田マリ氏。母親であり起業家であり、すごい方ですね。美人ですし。

現在はシンガポール在住です。このインタビュー記事では、シンガポール移住を決めた理由や、シンガポールのいいところ、日本の悪い(と思う)ところなどが書かれています。

私も一度は海外(ドイツ)での生活を経験しましたし、娘もドイツで出産しました。その経験も踏まえて思ったことをまとめてみます(村田氏の考えに対する異論反論ではなく、あくまでも私の考えです)。

英語ネイティブは本当に必要か

村田氏がシンガポール移住を決意した最大の理由は、子どもを中国語・英語ネイティブにするためのようです。

それは、子どもを中国語・英語ネイティブにしたいからですよ。それで、移住したの。

子どもには英語を不自由なく話せるようになって欲しいと思う親は結構いるようですね。もちろん、話せないより話せるに超したことはありません。

ただ、もっと大事なことがあると思うのです。

英語はあくまでも会話のためのツールに過ぎないはず。話す中身がしっかりしていなければ、日本語だろうが英語だろうが相手には伝わりません。

大事なのは、「物事を論理的に考えて的確に相手に説明できること」だと思っています。論理的思考を養うための方法は、子どもの性格やそれぞれの家庭環境によっても違うでしょう。もしかしたら行き着く先は、国外での教育かもしれません。

それならそれでいいと思うのです。ただ、あくまでもコンテンツありきの英語ですから、「ネイティブレベルの英語」が本当に武器になるのは、それ以外の部分がきちんと整っている場合に限るのではないでしょうか。

そこまで認識した上で、英語のための海外生活を選択するのであればいいと思うのですが、ただただ英語は話せた方がいいから、という理由だけで海外での生活を求めるのは安易な気がします。日本を出ることのデメリットも必ずあるわけですから。

母の立場としての「日本 vs 海外」

日本は子育てがしにくい国だとよく言われます。私も、同じく不満を感じることはよくあります。

ただ、少なくとも今の私は、色々と苦労や不満がありながらも、日本での子育てを楽しんでいます。これもまた紛れもない事実なのです。

ベビーカー論争のことがよく話題になりますが、どこもかしこも問題だらけというわけではありません。私には、何度か助けていただいた経験があります。

とはいえ、もちろん嫌な思いもします。ドイツの方が優しかったかもしれません。

ただ、日本にはベビーカーは邪魔だという人がいるというのに対して村田氏が言っている、

海外でそんな国はありませんよ。だって、私がベビーカーで外に出て、2段くらいしかない階段を前に、どうしようかな、もうガンガンって下しちゃおうかなって立っているだけで、男の子が5人くらい走ってきますからね。 Do you need a hand? ってね。

これは、いくら何でも大げさではないかと思います。日本でも手を貸してくれる人はたくさんいますし、逆に外国でも舌打ちくらいされることはあります。もしかしたら、彼女がそういう場面にまだ遭遇していないだけか、シンガポールという国は本当に友好的なのか、それはわかりませんが、あまり「海外」を一般化して美化しすぎない方が身のためです。

仕事と育児との両立

来年の4月から、子ども子育て支援新制度が始まるということもあり、仕事と育児の両立についてあれこれ思いを巡らせている方も多いことでしょう。私もその1人です。

「待機児童」に始まりついには「保活」という言葉まで生まれてしまった今の日本。子どもを預けて仕事をするのはなかなか大変です。お金も精神力も、体力も必要です。

シンガポールでは待機の心配なんて皆無だとのこと。また、メイドやナニー(育児係)をお願いするのも簡単なようです。素晴らしい環境です。

村田氏ほどの多忙さ(推測ですが)ともなると、日本ではもはや仕事と育児の両立はできなかったようとのこと。それが原因で事業を手放した経験がおありだとか。

無理ですよ。日本ではいつも走ってました。子どもの保育園のお迎えに間に合わない、社内ソーシャルゲームのイベントにでられない、って。そして、みんなにゴメンね、ゴメンねって。

バスに飛び乗っても、また子どもがフエフエ泣き始めて、周囲に「チッ」とか舌打ちされて。仕方がないから、3つ前の停留所でおりて、寒空の下、子どもをあやしながら帰るなんてしょっちゅう。こっちにきて、そういうストレスからは開放されましたね。

ええ、ええ、分かります。私も毎日走っています。いいじゃないですか、かわいい娘に会うためです。たった数年間のこと、走りましょうよ。最近はそんな風に思うようになりました。

逆に、何時になっても安心して誰かに預けられる環境はちょっと怖いなとも思います。

私は今の仕事が好きです。本を書くのもアプリを作るのもとても楽しんでいます。もし、保育園のお迎え時間という区切りがなかったら、仕事と育児をうまく切り分けられなくなってしまうのではないかと不安にすらなります。

そうなってしまったら、もはや「仕事」と「育児」の両立ではないと思うのです。「仕事」と「育児マネージメント」の両立ではなかろうかと。

実際に「育児」をしているのは自分に代わる保育者であって、自分はその育児を「マネージメント」していることになってしまう気がするのです。

せっかく築けた親子という関係、最愛の娘、私の元にべったりとくっついていてくれるのはほんの数年でしょう。あとから後悔しないためにも、自分の手で「育児」をしていきたいと思っています。

今はフリーで仕事をしています。保育園の預け時間を延長すればもう少し長く仕事ができると思い、これまでに何度も延長を検討してきました。

でも、それをやってしまったらきりがないような気がして、毎回、今のペースを維持していこうという結論に至っています。今の生活は、大変ですが幸せです。

家族の大切さ

最後に、家族について。

娘はドイツで生まれ1歳になる前に日本に帰国しました。日本に帰ってきて一番感じたことは家族の大切さ。そしてありがたさ。離れているとはいえ、新幹線や飛行機で数時間の距離です。会おうと思えばすぐに会えます。

家族との距離というのは、海外育児における最大のデメリットではないかとすら感じます。

特に、親(娘にとってはおじいちゃん、おばあちゃん)はだんだんと歳をとり、そう簡単には長距離便に乗れなくなってきます。こればかりはお金があっても解決できません。

自分の親を見ていて、孫の存在が活力になっていることは確実です。

そして、娘には、多くの人に愛されて育ってほしいと思います。

今の時代、スカイプなどを使えば簡単にテレビ電話ができますが、実際に会うことで得られる体験とは比べものになりません。

娘はおじいちゃん、おばあちゃんの話をたくさんしてくれます。

それだけ、一緒に遊んだり、一緒に食べたりした経験が彼女を成長させているのでしょう。

そう思うと、今自分が日本で育児をすることができ、本当によかったと思えます。

大物起業家の村田氏と、フリーの開発者である私とでは、生活も価値観も大きく異なると思います。できることとできないことも、求めるものも。それでも、今回のこのインタビュー記事には、色々と考えさせられました。

決して村田氏のやり方を否定するわけではありません。あくまでも、今の自分を肯定してあげたいなと思ったのでした。

そして、事情があって日本では育児ができない方、逆に海外で育児をしたいのに日本から離れられない方、色々だと思います。今の環境でどれだけ育児を楽しむかは自分次第なのかなと。隣の芝は青々していますが、案外自分の庭にも小さくて可愛らしい花が咲いているかもしれません。