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子どもの言語習得に自分の語学学習経験を応用してみる


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私は大人になってからドイツ語の勉強をしました。大学時代に第二外国語として履修していたものの完全に忘れ去っていたため、ほぼゼロからのスタートとなりました。

現地ドイツにあるドイツ語の学校に通ったのですが、ドイツ語を全くといっていいほど話せない集団(1クラス10〜15人程度、母国語は様々)が、ドイツ語だけを使って授業を受けるのです。はじめはどうなることかと思いましたが、先生のスキルが高かったおかげで、短期間でかなりしっかりとドイツ語を定着させることができました。

そのときの学習体験と、2歳半の娘が言葉を覚えていく過程がどことなく似ている気がして、実はずいぶん前から気になっていました。

そして先日、興味深い記事を見かけました。その記事の紹介と併せて、自分の学習体験を元に実践していることをまとめます。

読み聞かせは「いろいろ」より「繰り返し」

子どもが言葉を習得するためには、何かしらの材料が必要です。その材料のひとつとして絵本の読み聞かせがあげられます。もちろん、絵本に限らず大人との会話からもたくさんの言葉を学んでいきますが、絵本の中には、私たち大人が普段使わないような言葉もたくさん使われています。これが、子どもにとっては刺激になるというようなことを、保育園でも言われたことがありました。

以下の記事では、Horst博士(イギリス・サセックス大学)の研究をもとにした効果的な読み聞かせ方法が紹介されています。

要約すると、効率的な言葉の定着には、同じ本を繰り返し読むことが望ましいといった内容です。ほかにも、読み聞かせのときには絵を指さすとよいとか、寝る前の読み聞かせが効果的だとか、色々と参考になることが書かれています。

私がドイツ語を勉強していたときも、繰り返しはかなり多かったです。そして、はじめは意味が分かっていなくても、繰り返し使い、少しずつ応用していくことで、知らないうちに理解していたことは少なくありません。

娘はというと、気に入った本を何度も何度も繰り返し読み(実際に読むのは大人ですが)、ほとんど中身を暗記しています。最初は、それぞれの単語が何を示しているか、それどころか、文章がどこで切れているか(どれが名詞か)すら分かっていないかもしれません。

それが、繰り返し読んでいくうちに文章を少しずつ分解しはじめるのです。

繰り返し読むことの重要性は、この「分解」にあるのではないかと思っています。自分の中で文章を分解できるようになるまでには、それなりの時間が必要です。それよりも前に次の本にいってしまうと、結局のところたくさんの単語を耳にしたことにはならず、メロディのような感覚でしかいないのかもしれませんね。

分解してはじめて、絵本の中に出てくる「絵」と大人の口から発せられる「言葉」がリンクするのではないでしょうか。

日常生活に絵本のフレーズを取り入れる

娘は、同じ絵本を何度も繰り返し読むうちに、その中のフレーズを口にするようになってきます。使う場面があっていることもあれば、まったく関係ない場面で突然言い出すこともあります。

そこで、絵本から得たフレーズをうまく日常生活に取り入れられるよう、少し手助けをしています。

これもまた、自分のドイツ語学習からヒントを得ています。

当時の教科書には、特定の文法テーマを習得するための、半ページから1ページ程度のストーリーが書かれていました(超初級はほとんど絵本です)。授業では、教科書に書かれた内容を繰り返し読みながら、そこに書かれた絵から単語の意味を推測したりしていきます。しかし、これだけではいまいち理解が深まりません。

ところが、類似のフレーズを街の看板や雑誌の中などで見かけたりすると、なるほどなと思うことがよくありました。

子どもが言葉を覚える際にも、このような体験は役に立つのではないかと思い、絵本の中のフレーズをそのまま日常生活に当てはめたりしています。

そうすることで、「言葉」が「絵」だけではなく「実体験」とも結びつくのではないでしょうか。

「少しずつ」応用させてみる

さらに、自分がドイツ語を学んだときに先生がやってくれたように、フレーズを「少しだけ」変化させて言葉あそびを楽しんでいます。

例えば、「赤い車が走っている」というフレーズがあったとしましょう。

これをいきなり「青いトラックがとまっている」にしてしまっては子どもが混乱するかもしれません。

そこで、「赤いトラックが走っている」「赤い郵便車が走っている」「赤い自転車が走っている」のように名詞だけを入れ替えたり、「黄色い車が走っている」「緑の車が走っている」「黒い車が走っている」のように形容詞だけを入れ替えたりしてみます。

この方が頭の中で整理しやすいのではないでしょうか。実際、自分が体験した初期段階のドイツ語学習はこのようにして行われていました。

形容詞は活用があるのでさらに難しいですね。

娘の場合、最初は「赤いの車」「青いのくるま」のように「い」と「の」の両方が入っていました(「緑の」あたりから応用したのでしょう)。しばらくこのあたりは気にせずに放置していましたが、形容詞の使い方にも少し慣れてきた頃から、気がついたら直すようにしています。

今ではずいぶん正確に言えるようになってきました。

同じ体験をしているという面白さ

実際のところ、これらの取り組みが娘の言語発達にどれだけ貢献しているのかは分かりません。言葉の発達は、成長過程の中でも個人差が大きいところです。たまたま娘は言葉が早い方だっただけかもしれません。

それでも、自分がしてきた体験と娘がしているであろう体験が、非常に似ていると感じることが多いのも事実です。

役に立っているかどうかは別として、こうして娘と同じ体験をしているのではないかと思えることが楽しく、自然とここに書いたようなことを実践してきました。我が子が新しく覚えた言葉を少しずつ応用することで、会話の幅も広がり、なんともいえない面白さがあります。

最後に、最近娘がはまっている絵本はこちら。図書館で借りてきた本ですが、かなりのヒットだったようです。ちなみに、図書館ではだいたい5〜7冊くらいの本を借りてきてその中の1冊か2冊、気に入った本を2週間読み倒すというのが娘のスタイルです。

『がったいガッチーン!』は、身近な生活雑貨(食器や調理器具、電化製品など)が合体して、動物や昆虫になるというお話です。我が家では、実際に身近にあるもので合体ごっこをしてみたりと、遊びの世界が広がった一冊です。