育児における「立ち直る力」
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Facebookのシェリル・サンドバーグCOOが、カリフォルニア大学の卒業式で語ったという、夫の死から得た立ち直るために避けるべきことに、強く共感しました。
最愛の人を突然失うその悲しみを、幸いにも私はまだ知りません。その悲しみに比べたら、ほんの小さな小さなものですが、私にも去年『立ち直る』ことに苦戦したあるひとつの出来事がありました。
詳細は割愛しますが、きっかけは娘の怪我。運悪く夫は出張で不在、救急車を呼びどうにか対処したものの、医師のちょっとした心無い一言で気持ちが大きく崩れました。
仕事が手につかなくなり、ふとすると自分を責めている。ごめんね、ごめんねという私の気持ちは娘に伝播し、娘もまた自分が不幸だと思い込んでしまっていたと思うのです。
実際には、怪我はそれほど大きなものではなく、誰が悪かったわけでもない。
でも、一度歯車が噛み合わなくなると、気持ちの落としどころが見つからなくなりどんどん負の連鎖が始まりました。
冒頭で紹介した記事に、悲しみから立ち直ろうとするとき避けるべき3つの『P』が紹介されていました。
「自分のせいだと思うこと(Personalization)」
最愛の人の死からも立ち直る力。Facebook女性COOが卒業式で語ったこと
「人生全てに影響すると思ってしまうこと( Pervasiveness)」
「永遠に続くと思うこと(Permanence)」
これを読んだとき、私と娘が負のループに陥った原因もここにあったのだと思いました。
私は自分を責めました。娘は勝手に転倒しただけですが、それでも色々と理由を探しては自分のせいだと思ってしまっていました。病院でひとつの判断を求められた時、選んだ道が間違っていたのではないかという思いから解放されずにいました。
その自分の判断のせいで、娘の人生を負の方向に大きく引っ張ってしまったという思考に陥りました。
そして始まった負のループ。終わりがないように思いました。急に始まった保育園での大泣き、3歳半を過ぎて戻ってきた夜泣きや後追いのような状況。私がトイレに行くだけで涙をボロボロこぼして泣く娘。
私が落ち込めば娘はより不安定になり、さらに育児のストレスも増える。その状況にイライラし自己嫌悪。育児における典型的な負のループです。
立ち直るにいたったきっかけは、人と話すことでした。話して、話して、話して、少しずつ気持ちが整理できました。3つの『P』が少しずつ解消していったのです。
もちろん、シェリル・サンドバーグ氏の悲しみに比べたら本当にちっぽけな話です。
でも、立ち直るために避けるべき3つの『P』は、悲しみの大きさに関係なく有効でしょう。そして、悲しみ以外の負の感情にも有効だと思うのです。
きれい事だけではやっていけないのが育児。時には子供相手に声を荒げてしまうこともあります。そして大抵は、あとから自己嫌悪に陥るのです。でも、自分だけが悪いわけではない。環境の影響もあるかもしれないし、子供にだって悪いところがあったかもしれない。そう思ったら、少しは気楽になるものです(Personalization)。
子供と向きあっていくということは、決断の連続です。「母乳かミルクか?」に始まり、「離乳食はいつから?」「保育園には預ける?」「習いごとはどうしよう?」「公立?私立?」選択と決断は、いつまでも続きます。
選択を間違ったかもしれないと思ったとしても、その選択が、子供の人生すべてを決めてしまうわけでは決してないのです。間違えたかどうかを問うよりも、自分と子供が選んだ道を確実に歩んでいきたいものです(Pervasiveness)
そして最後は何事も永遠には続かないということ。夜中の授乳や夜泣き、正直言って眠いです。イヤイヤ期、正直言って辛いです。でも、子供は成長していきます。育児の課題は次から次へと押し寄せてきますが、解決策を見つける前に、子供がその問題から卒業してくれることも少なくありません(Permanence)。
こうやって考えてみると、「悲しみ」という感情に限らず、育児における負の感情から立ち直るために、この3つの『P』を意識することは本当に大事な気がします。
まだまだ、育児歴4年。これから娘は精神的にも大きく成長し、より難しい問題にぶつかっていくでしょう。
でも、お互いが不必要に苦しまないように、3つの『P』を意識していきたものです。